

市内には、志村さんのギャグ「だいじょうぶだぁ」をブランド化した和菓子店もある。東村山駅の東西両出口にある和菓子処「一風柳 餅萬」だ。7代目社長の深井駿さん(39)が話す。
「13年前に亡くなった父が、志村さんの小学校時代の同級生で親友だったんです。89年ごろ、『志村けんのだいじょうぶだぁ』で小倉あんとウグイスあんのお饅頭が登場するコントがあり、それをヒントに父が考案。もちろん志村さんからお墨付きをいただいています」
饅頭(5個セット750円)、どら焼き(1個180円)、最中(同190円)の3種類。小倉あんが「だいじょぶだァー」で、ウグイスあんは「だっふんだァー」。
「収録現場のスタジオや、舞台がある時は劇場にしばしば差し入れしていたものです。また、『だいじょぶだァー』という語呂の良さから、入院や受験、就職、転勤などのお見舞い、ご進物用にお買い求めになる方が多いですね」(深井社長)。
もう1軒、忘れてはならないのが、焼き団子の「笹本だんご店」。東村山駅から徒歩約20分の距離に位置するが、“聖地巡り”ファンの休憩場所でもある。
「志村さんのお母さん(故人)がウチの団子が大好きで、時々、志村さんご自身も買いに来て下さいましたよ。17年前の11月、ご実家でお正月特番のロケがあった際に、一度に100本お届けしたのが懐かしいですね」
こう話すのは、店主の笹本悦子さん(76)。
笹本さんによると、団子のタレはしょうゆを1時間煮詰めてあくを取り、それを開店以来、45年余り使い続けているかめのタレに継ぎ足ししているという。タレが焦げる香りに誘われ、早速、いただいた。志村さんも味わったのかと思うと、格別だった。
取材後、東村山駅のホームで、電車の発車のメロディーを聞いた。1、2番ホームのメロディーは「東村山音頭」をベースにしており、2種類の軽快なチャイム音が鳴る。
「このメロディーは、2014年から16年にかけて使用し、いったん休止していました。でも志村さんが亡くなられ功績をたたえようと、20年7月に復活させたのです。5、6番ホームでも平日の午前5時から同9時まで、土日休日は同6時台に1本限定ですが流しています」(東村山駅)
志村さんの記憶と思い出は、いつまでも残るのだろう。
(高鍬真之)
※週刊朝日オンライン限定記事