2016年から使用できるようになった「S-ICD(完全皮下植え込み型除細動器)」は、リード線を静脈に入れずに、皮下に植え込む。榊原記念病院の新田順一医師はこう話す。

「S-ICDはICDに比べて感染を合併した際に敗血症や感染性心内膜炎を起こしにくく、リードにトラブルが起きた際にも抜去に伴うリスクが少ないというメリットがあります。ただし、徐脈ペーシングや抗頻拍ペーシングの機能がありません。若い人ほど長期間体内にリードが留置することになるので、将来的に感染やリードトラブルが起こるリスクが高くなります。そこでS-ICDは若くて徐脈がなく、特発性心室細動のような抗頻拍ペーシングの効果が少ない人に向いています」

■メリットが大きい遠隔モニタリング

 ペースメーカー治療は、植え込み後の管理が重要だ。その管理方法として近年重視されているのが「遠隔モニタリング」だ。植え込んだ機器の情報が病院に送られるシステムで、心不全の状況や機器が適切に作動しているかといったことがわかる。

「通院回数を減らせますし、心不全を管理できるので寿命にも関わります。患者さんにとってメリットの大きいシステムです」(庄田医師)

 植え込み後の管理については、事前に確認しておきたい。

ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので参考にしてほしい。
「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/

【取材した医師】
榊原記念病院 副院長 新田順一 医師
東京女子医科大学病院 循環器内科特任教授 庄田守男 医師

(文/中寺暁子)

週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』より

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