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 若い世代の「積み立て投資」ブームに拍車がかかっている。急な動きに「『投資の王道』の存在に気づいた集団行動では」と指摘する声も出始めた。老後資金への不安は50代、60代も同じ。若い世代に“便乗”するのも悪くない!?

【つみたてNISAの口座数の推移はこちら】

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 つみたてNISAは、投資初心者向けの資産形成の手段として2018年に金融庁が始めた制度だ。毎月、一定額を積み立てて金融商品を買っていく。年間40万円が限度で、運用益は非課税。20年間、合計800万円まで投資できる、長期投資に向いた制度だ。

 当初から人気を呼び、毎年100万口座程度が増えていたが、昨年は1年間で何と約216万口座も増えた。例年の倍以上の伸びだ。

(週刊朝日2022年4月8日号より)
(週刊朝日2022年4月8日号より)

 楽天証券が半年の決算ごとに同証券のつみたてNISAの口座数を発表している。それによると、昨年末は199万口座。1社で全体の4割弱のシェアもすごいが、それよりも驚くのはこの1年で約110万口座も増やしたことだ。日本全国で増えた分の半分強が楽天証券で口座を開いたことになる。同証券によると、30代以下の若年層が6割以上を占めているというから、今や、「ネット証券で若い世代の積み立て投資がブーム」なのだ。

 若い世代の投資熱は、19年に起きた「老後資金2千万円問題」に端を発する。老後不安にかられた彼・彼女たちはマネーセミナーに通いはじめ、コロナ禍で株価が暴落すると、徐々に「つみたてNISA」への集中が目立ち始めた。楽天証券の広報担当者が言う。

「ステイホームで時間ができて、より老後について考える人が増えたのでしょう。コロナ禍で余暇資金が余っていることも影響していると思います。当社は投資への入り口商品として積極的に若い世代を勧誘していますし、楽天ポイントで積み立てができるようにしたことも利便性を高めました」

 つみたてNISAで投資できる商品は、「インデックス型」の投資信託が大半だ。株式や債券、不動産などの市場全体の値動きを示す指数に投資するもので、「長期・分散・積立」が合言葉。また、楽天証券によると、6割が上限に近い月3万円超を積み立てているという。

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