週刊朝日 2022年8月5日号より
週刊朝日 2022年8月5日号より

 そうなれば体力が続く限り70歳以降も生涯現役で働くことができるようになる。

 再雇用後も即戦力として力を発揮するためには、早い時期から会社側とのキャリア面談が必要で、会社が求めている人材と、自分のスキルをマッチングさせられるかがカギとなってくる。

 田邊さんが作成し、シニア研修などで活用している「私と家族の100年キャリア見える化ノート」では、業務経験で得た「強み」の棚卸しのほかにも、将来思い描くライフデザイン、病気介護などのリスク、仕事の不安などシニア生活に入ってから起こりそうなことを列挙しながら、自分の働き方を明確にしていく。

 中でも「自分や家族の困りごと・不安を知る『100年キャリア』仕事の不安」は、今ある仕事への不安を明確にして、それをもとにキャリアコンサルタントなどに相談しながら、「できること」を探していくというもの。

 専門性を身につけるといっても、今、働いている会社で役に立つスキルかどうかはわからない。

 スキルの棚卸しをするとともに、仕事への不安を解消させることが大切という。

 専門性を磨くのはもちろん、それと同時にやっておくことは「好印象を持たれる素敵なシニア」になること。

『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)の著者で、セカンドキャリアコンサルタントの高橋伸典さんは、57歳の時に外資系の大手製薬メーカーを早期退職し、保育園を経営する会社に再就職した。そこで思わぬ試練に直面したことが、反面教師となっているという。

「採用と社内研修ができる会社を探して、再就職したのはよかったのですが、前の会社のやり方で強引にマイペースに仕事を進めてしまい、当初は会社の上層部から目を付けられ挫折を経験しました」(高橋さん)

 シニアはエラそうな態度をとりがちなので、再雇用後も年下の上司とうまくやっていくために、上から目線の接し方をあらためて、謙虚に素直に学び直す姿勢が大事になってくるという。

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ