<ユニクロは、ウクライナ人の生きる基本的な権利より、ロシア人のズボンやTシャツの需要のほうが重要だと判断した。残念だ!>(原文は英語)
そうツイートしたのは、ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使だ。ロシアへの経済制裁が進むなか、ファーストリテイリングがロシアでのユニクロ事業の継続を表明したことへの苦言だった。
■共感で情報戦を制す
SNSではユニクロへの批判が瞬く間に拡散。公に呼びかけたウクライナに疑問を抱く声もあったが、3日後、ロシア国内でのユニクロ事業の一時停止が発表された。ガイアックスのソーシャルメディアマーケティング事業部長の重枝義樹さんは、この動きに衝撃を受けたという。
「日本の大使館でありながら、あえて英語で投稿して世界に向けて発信。結果的に大きな衝撃を与えました。方針転換の理由はツイートだけではないと思いますが、SNSが情報戦で使われた一つの例になるでしょう」
前出の山田さんも言う。
「今はわがままを言ってもみんなが聞いてくれると理解している。情報戦で大事なのは、いかに国際社会の支持と経済的援助を集めるかです。ウクライナは、どれほど理不尽な攻撃を受けて、苦しいなかで戦っているかを発信することができています」
そうやって、世界からの共感を集めるウクライナに対し、ロシアは対照的だ。
駐日ロシア大使館の投稿は、ウクライナ政府をナチスになぞらえたり、SNS上でロシアに対して情報戦が仕掛けられていると訴えたり。頻繁にツイートしてはいるものの、どこか一方的にも見える。
■感情に流されないこと
東日本大震災から11年が経った3月11日には、ツイッターで哀悼の意を示したが、
<当時ロシアはできる限りの支援に努め、ロシア国民の心は日本の皆様と共にありました>
と締めくくり、今は心が離れているとも感じさせる。
自民党の河野太郎氏も同大使館の投稿に不快感を示し、自身のツイッターで「Shame on you.(恥を知れ)」と投稿。大使館側も「お互い様」と応酬している。なぜ、こうした投稿を繰り返すのか。