「そもそも共感してもらおうと思っていない」

 と重枝さんは言い切り、こう続ける。

「ロシアメディアや国連でのロシアの動きを見ると、アメリカの生物兵器説を訴えるなど衝撃の強い情報を流してひっくり返そうとしていることがわかります。フェイクっぽいなと思われても、国連で正式に告発すれば信じる人は一定数現れる。メインストリームのメディア上では勝てないので、人々に疑念を植え付ける陰謀論クラスタを焚きつけるなどして分断を煽るのがロシアの戦略でしょう」

 かつてない大規模な情報戦にプラットフォーマーも神経をとがらせている。

 ツイッターでは、軍事侵攻が始まって以降、ロシア政府関係のウェブサイトをリンクしたツイートにラベル付けなどをして対応。ラベル付け自体は2020年から実施されているが、リンクの共有までは対象ではなかった。また、古い戦争の映像を使った誤解を招く投稿の増加を受け、5万件以上のコンテンツへのラベル付けや、削除を実施している。フェイスブックでも、フェイクニュースが流れないよう監視を強化している。

 だが、すべてのフェイクを排除することは難しい。情報に溺れないために、気をつけるべきことは何か。重枝さんは言う。

「真偽の確かめようがない場合は、その情報を流している発信者の意図を考えてみてください。そして、感情に流されないことも大切です」

(編集部・福井しほ)

AERA 2022年4月11日号

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