入学式を終え、一足先に帰路につく秋篠宮ご夫妻(撮影/阿部さん)
入学式を終え、一足先に帰路につく秋篠宮ご夫妻(撮影/阿部さん)

 10時から、体育館で入学式が行われた。担任の先生が一人ひとりの名前を呼ぶ。「秋篠宮悠仁」と呼ばれると「はい」と返事をしたという。

 式が終わり、生徒たちが体育館から出てきた。

 11時15分ごろ、秋篠宮ご夫妻は、すれ違うひと達ににこやかにあいさつをしながら、ひと足先に学校を後にした。40分ほど遅れて校門から出てきた悠仁さまは、リュックを背負い、ご両親とは反対の道を歩いて下ってゆく。

 悠仁さまは皇位継承順位2位の男子皇族だ。皇室典範の通りにゆけば、将来の天皇となる人物が、初めて学習院以外の高校に入学した日である。

 気になるのは、沿道に集まった人の数だ。

 報道陣をのぞけば、悠仁さまの姿を見ようと集まった一般の人は10人前後であった。

 天皇制は、人気投票で決まる仕組みではない。それでも、「将来の天皇」の慶事への注目度の低さに、国民と秋篠宮家の関係がまだギクシャクしているような空気を感じる光景だった。

■入学式にご両親そろって出席

 一方で、ご両親の悠仁さまへの期待は高い。

 それは過去のお子さまの入学式や卒業式を振り返ると一目瞭然だ。

 長女の眞子さんと次女の佳子さまの進学の節目に、父親の秋篠宮さまが姿を見せたのは、初等科の入学式だけだ。ふたりの姉妹の小学校の卒業式、中高校の入学と卒業式の写真に写るのは、母の紀子さまとご本人方だけだ。

「高校になっても悠仁さまの入学式には、ご両親そろって出席なさいます。悠仁さまを特に、可愛がっていらっしゃるんでしょうね。」(宮内庁職員)

 天皇家の場合、お子さまが愛子さまひとりということもあるのだろう。愛子さまの学習院女子高等科の入学式には、ご両親がそろって出席していた。

 皇室という特殊な空間で皇位継承権を持つのは、男子皇族だけだ。女性皇族は、結婚すれば皇室を出ることが定められ、未婚でも宮家を継ぐことは特殊なケースを除いて想定されていない。男女の間で、完全な身位の差がある。

 政府の有識者会議などで緊急の課題として、皇族の数の確保が議論になる。そのために、「女性宮家」や「女性皇族が結婚しても皇族の身分を保持できる」といった案が浮上する。いずれも、「天皇を支える」ための存在なのだ。

 秋篠宮家の交流のある人物からは、「眞子さんも佳子さまも、早くから皇室を出ることを望んでいた」という話を何度も聞いた。

 日本で一番の旧家とも言われる天皇家。だが、そこで生きる女性皇族は、また違う景色を見ているのかもしれない。

 入学式では緊張した顔を見せた悠仁さまだったが、同級生と並んで移動する場面では、笑顔も見えた。

 素晴らしい高校生活が待っていることだろう。

(AERAdot.編集部・永井貴子)