
「風邪薬は新型コロナウイルスの予防薬ではないので、その目的で飲まないように」
そんな注意書きも添えられていた。
Aさんのところに届く食材はバランスがいいほうらしい。SNSにはこんな投稿も。
「豚肉と魚が届き、後日エビだけがきた」「ニワトリが丸ごと1羽きた。これだけ食べろってこと?」「イモと白菜しか届いていない」
小区やその上の町内会にあたる居委会の担当者のセンスと気遣い、力量に配給食材が左右されるようだ。
食材の量は人数ではなく世帯単位。
「私は一人なのでまだ十分ありますが、4日間で終わると思ってその分の食料しか買わなかった人や家族が多いとこれでは足りないはず」とAさん。ロックダウンも6日目に入り、少し不安が膨らんできたという。
不安やつらい日が続くロックダウンだが、だからだろうか、4月4日、こんな呼びかけがSNSで広がった。
「久々の外出。コスプレで検査を受けよう」
この日は、2400万人超が一斉にPCR検査を受ける日だった。
だれが流したかはわからないが、せっかく外出できるのだから楽しもう、という趣旨だろうか。
それに呼応した人たちが、熊の着ぐるみやスーパーマンなどのキャラクター、花嫁衣装や親子そろってのサングラスとスーツ姿、目立つ派手な装いなど、ハロウィーンさながらのコスプレで、それぞれの検査場に集まったという。
そうした写真が、中国の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」や検索エンジン「百度(バイドゥ)」などに次々に投稿され、話題となっていた。
厳しい外出制限が課せられる中国のロックダウン。中国人はそのなかでの息抜き法を身に着けてきた?

■下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(週)、「沖縄の離島旅」(毎月)、「タビノート」(毎月)。