
──玉三郎さんにとって仁左衛門さんはどんな存在ですか。仁左衛門さんは、「桜姫は玉三郎さんのためにある役」とおっしゃっています。
おおきに、おおきに、ですね(笑)。仁左衛門さんとは半世紀、舞台の上では非常に親しい、夫婦役、恋人役、あるいは敵対する役、たくさんやりましたけど、プライベートではあまり親しくしていないんです。
──仁左衛門さんもインタビューで同じことをおっしゃっています。
でしょう。だから、一緒にご飯を食べたことは5回あるかどうかです。私はあまり親しい役者さんと会食することはないんです。(尾上)菊五郎さんともほとんどないし、(二世中村)吉右衛門さんともほとんどなかったです。
──そうなんですね。意外です。
会食はしないたちなんです(笑)。若いころから飲みにもいかなかったし、外出もしなかったので、もうまわりはそういう人だと理解してくれていると思います。
──舞台での役柄に集中するために、プライベートでは親しくしないようにしているということでしょうか。
そういうつもりもないんですけど……(十八世中村)勘三郎さんともあまりなかった。終演後に出かけないといったらいいのかなあ。毎月一緒にいるから、終わってから、いちいち話すこともないんです(笑)。稽古中、本番中にさんざんしゃべっていますしね。もちろん遊びにいったら別ですけど。でも私はゴルフも遊びにもいかなかったから。つまらない人間だったと思います。今はコロナで難しい面があるけれど、昔は楽屋でしゃべっていたし、必要なかったんですね。
──今回、舞台がシネマ歌舞伎になります。編集作業にも参加されたと伺いました。映像はもとより、音にもこだわられたとか。
編集は大事な作業です。ベストカットをつないでいくだけですけど、映像や音にこだわるのは、当然のことだと考えています。今は技術が進んで、雑音も減らせるし、逆にマイクが多いから、音を拾いすぎて、かえって難しいこともあります。