「こども店長」として、人気を博した加藤清史郎さん。あれから10年以上が経ち、少年から青年に成長しました。現在はドラマ「競争の番人」、ミュージカル「BEMORE CHILL」に出演中の加藤さん。作家・林真理子さんとの対談で、高校時代のイギリス留学や俳優業への思いを明かしました。
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林:最初の「レ・ミゼラブル」のとき、お母さまにお目にかかったら素晴らしい方で、「こども店長」(トヨタ自動車のCM)で人気が爆発してものすごく忙しかったと思うんですけど、「本人がやりたいと言うからやらせていますが、あくまで学業第一です」とおっしゃって。
加藤:その母の考えもあって高校3年間イギリスに留学できたので、本当に感謝しています。
林:「レミゼ」のときに、イギリスから来た演出の人と直接しゃべりたいと思ったのが留学のきっかけだったと聞いてますが、いまはもうふつうにしゃべれるんですか。
加藤:稽古の休憩中にお話ができるので、「ここの踊りはこういう意味があるから、こう踊ってほしい」ということを、通訳さんを通さずにコミュニケーションが取れています。
林:おー、素晴らしい。
加藤:通訳の方って、全部を訳してしまうと時間がかかるので、ポイントで大事な部分だけを伝えてくださるんです。英語の単語に込められているニュアンスと、日本語で説明するときの意味合いが若干違うこともあるので、それを即座に感じ取れるのは、すごくよかったなと思います。
林:加藤さん、いま大学に行ってるんですよね。何を勉強なさってるんですか。
加藤:芸術の歴史をさかのぼって、その本質を学んでいく、というような授業も受けています。僕がミュージカルに出ると、大学の友達が観に来てくれて、レポートのような感想が送られてくるんです。だから彼らが与えてくれる刺激も大きくて、そういった出会いにも感謝しています。
林:そうですか。
加藤:ふつうの同級生とも違うし、役者仲間とも違う、芸術を分析する側の視点や意見を同年代から取り入れるって、なかなかできないことだよな、と最近思っています。