加齢性難聴データ
加齢性難聴データ

 日常生活で困っていなければ、耳鼻咽喉科の受診にはつながりにくい。

「本人の自覚がなくても、呼びかけたのに応答がない、最近テレビの音量が大きいといったことに家族が気づけば、受診のタイミングです。スマートフォンで聴力を簡易的にチェックできるアプリも最近は利用できるようになりました」(土井医師)

 日本は欧米と比較して、補聴器の普及率や満足度が低いという実情がある。補聴器に関するトラブルも多い。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、同学会が認定する「補聴器相談医」の資格をもつ医師の診察を受けて、補聴器が必要と判断されたら「認定補聴器専門店」もしくは「認定補聴器技能者」が働く店舗で購入することをすすめている。

 補聴器は費用面でも壁がある。一般的に1台10万~20万円程度で、両耳に装用する場合は、さらに高額になる。しかし18年からは、補聴器相談医が発行する「補聴器適合に関する診療情報提供書」があれば、医療費控除の対象となっている。

「初診の際にはコミュニケーションが十分にとれなかったのに、補聴器の装用によって、表情や言動が別人のように改善した難聴の人を何人も見てきました。認知症になると操作などの面から補聴器の装用が難しくなるので、早い段階での難聴対策が重要です」(同)

(文・中寺暁子)

※週刊朝日2022年4月22日号より