――今年32歳。30代のスタートとともに話題作に恵まれている。30代の目標や理想像はあるのだろうか。

町田:「こういうことをしてみたい」という願望はいっぱいあるんですけど、理想像を「絶対これだ」と固めてしまうと苦しくなるので、その時々の思いを一個一個つなげていきたいです。僕は決めたら曲げないところもあるので、「柔軟にいたい」と意識して思っています。そのほうが将来どうなるんだろうって逆に楽しみですし。

――先の見通しが立たない時代。コロナ禍で夢を諦めざるを得なくなった人もいるだろう。町田自身、ケガをしたためダンスを諦め、俳優に転身したという過去がある。

町田:諦めるという選択、あるいは戦い続けるという選択もありますが、これだけ多様性があっていろいろな選択肢がある時代なので、視野を広げて、何かひとつに絞らなくてもいいという気がします。でも、どうしても何かひとつ選ばなければならなくて迷ったときは、他人の評価ではなく、それが好きか嫌いか、自分の思いに素直に従うようにするのがいいと思います。

(ライター・安楽由紀子)

AERA 2022年4月18日号