■補聴器の装用で耳鳴りも改善
サウンドジェネレーターは、耳に装用すると一般的に広帯域ノイズが流れる。しかし現在は使われる機会は少なく、補聴器を音響療法のツールとして活用する。
「補聴器の調整を工夫することで、装用時の耳鳴りの苦痛が解決でき、サウンドジェネレーターを使用していた時期よりも成績は上がっています」(柘植医師)
補聴器による治療がうまくいけば、補聴器を外しても耳鳴りが気にならなくなる場合もある。
昼間の耳鳴りが気になる場合は補聴器の装用により周りの音が聞こえることで、耳鳴りが気にならなくなるほか、会話がスムーズになる。生活の質が上がり、耳鳴りのことばかり考える状況からも解放されやすい。
補聴器は細かい調整や訓練が必要だ。
「補聴器をつけると最初のうちはうるさく感じますが、耳鳴りがある人はさらに音に過敏になっていることが多く脱落しやすいのです。当院では、小さい音を増幅し、大きな音を増幅させない技術を周波数帯域ごとに変化させ、調整します」(同)
適切に対応すれば、「耳鳴りの苦痛は8~9割改善する」という。
「改善しない人はうつなど精神的な問題がある人や特殊な聴力型の人です。それ以外の人は適切な治療を受けられていない可能性があるので、耳鳴りを専門とする医療施設でのセカンドオピニオンをおすすめします」(同)
(文・中寺暁子)
※週刊朝日2022年4月29日号より