バンダイでは給与水準が大幅に引き上げられたのに加え、業績の好調が続けば賞与も拡大し、年収の水準もさらに上がる。
アスファルトのプラントメーカーで国内シェア7割の日工(兵庫県明石市)も、初任給など年収を大幅に引き上げた。今春の大卒初任給は従来の21万2500円から24万円に上げた。さらに4月からは、一般従業員の月給を一律3万円、管理職は同5万円、それぞれ引き上げている。
日工の広報担当者によると、アスファルトプラントは高速道路向けに限ると国内シェアが90%以上という。「道路はなくなることがない。需要は堅調に推移している」(広報担当者)
日工は海外の事業展開にも力を入れており、アジアではタイに生産工場がある。「タイやインドネシアなどで事業展開を進める。現地には道路が整備されていない地域が多い」(同)と、日工の鼻息は荒い。
ウェブサイトの運用・構築、デジタルマーケティング支援などを展開するメンバーズ(東京都中央区)は昨年春、新卒初任給を2万2千円引き上げて24万2千円にした。20年10月からは、全社員約1500人を対象に7千円のベースアップを実施。従業員の年収を30年までに1.6倍に引き上げる目標を掲げ、これらの昇給はその流れにある。
高野明彦専務執行役員によると、メンバーズの顧客はメーカーや金融機関など日本を代表する大企業。業務のデジタル化が進むなか、顧客とチームをつくり、デジタル対応を進める。
経済産業省の調査で、30年に国内で最大79万人のIT(情報技術)人材が不足するとされる。一方で、IT人材の年収は、日本と比べ欧米が1.6倍も高いという。
「米国ではエンジニアが1千万、2千万円も稼いでいるのが当たり前。それに比べ、日本はすごく低い。欧米との収入格差を埋めていきたい」(高野さん)
◆大幅な賃上げが広がる可能性も
カジュアル衣料販売のユニクロは20年春に初任給を2割上げ、従来の21万円から25万5千円にしている。ユニクロを展開するファーストリテイリング(山口市)の広報担当者は「グローバルな活躍が期待できる経営者資質を持つ優秀な人材を獲得するため」と説明する。これに伴い、一般社員についても、個人の能力に応じて必要な給与の引き上げを実施したという。