吉野家の店舗
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 恐怖その1:「生娘・無垢」は「男とのセックスを知らない女性」という意味を含む。若い女性=処女という、ご都合主義な男根中心思想(←言葉がこれしか思い浮かびません)が怖い。

 恐怖その2:女性を精神的・肉体的に支配できるという認知の歪みが怖い。

 恐怖その3:女性が自分の金で美味しいものを食べるという視点がゼロ。想像力がなさすぎて怖い。

 私は数年前から、性産業に巻き込まれた女性たちの支援をしている。元役員の発言を知り、私がまっさきに思い浮かべたのは、新宿・歌舞伎町で風俗やAVのスカウトをしている男性の話だった。

「どういう女性に声をかけるのか」と聞いたとき、彼はこう答えたのだ。「田舎から出てきたばっかりの感じで、バッグやリュックのチャックが中途半端に開いている無防備な女の子に声をかけてます。的中率高いですね」と。

 そういう女性を言葉巧みに性産業に引き入れ、文字通り「借金漬け」にし、夜の仕事から抜け出せないようにするのがスカウトの仕事でもある。女性が稼いだお金を永遠に中抜きするために、あの手この手で女性を支配し管理するのだ。そのような現実は女性たちのリアルな声からも浮かびあがっている。

 女性を性的な商品として扱い、その人生を徹底的にしゃぶりつくす性産業が構造的に生み出している性被害と、「生娘をシャブ漬け」発言が私には重なった。女性に食事を与え、金を与え、価値観を与え、支配するのは男、という壮大な認知の歪みが商売になる世界と、日本中どこにでもある飲食店の「集客方法」が重なるなんて、女にとって地獄でしかないじゃないか。

 さらに、この問題の根深さは、発言の主が「森喜朗」ではないということでもある。80代でも、保守系の政治家でもない、70年代生まれの高学歴男性で、外資系企業でキャリアを積み、早稲田大学の社会人講座の講師として求められる程度に「今のビジネス」に精通している立場である。

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