晩年は週に1回くらいの頻度で通っていたという。

「ちょっと変わっている先生でしたね。私も変わっていると思うから、”類は友を呼ぶ”なのかもしれません。当時、先生とは自宅が近く、先生から『マリアちゃーん、詩を作ったから取りに来て』などと電話があるたんびに、遊びに行っていました。先生は歩けず、寝っぱなしの状態でしたが、私をかわいがってくれていました。私を応援してくれようとしていたんじゃないかな」

 いくつか石坂さんの未発表の詩があるという。

「未発表の詞の中から選んで、メロディーをつけたのが新曲『心枯れすすき』なんです。それ以外にも『人間万歳ブルース』という詩にもメロディーをつけようと思っています」

 マリアさんにとっては、9年ぶりの歌手復帰の曲になる。

「今は施設の仕事をしていますから、人の命を預かっています。こないだも、警察から『おたくの施設の子を預かっている』という電話があって、彼女を迎えに行ったら大泣きしていました。うちが最後の砦になっている子もいるんです。彼女たちは私の心の支えにもなっています。歌手はこれから続けるかどうかはわからないけど、もし好調ならば続けます。戦いですね。やれるだけのことはやろうと思っています」

「サーズ」の仕事をメインとしながら、歌手活動に挑戦することになりそうだ。(AERAdot.編集部 上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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