診察や治療におけるデジタル技術の発展と並んで期待されているのが、ビッグデータの活用だ。患者の電子カルテや検査画像から得られた診療データ、ゲノムなどのデータ、最新研究によるデータなどをどう病気の診断や治療、健康増進に結びつけるかが、いまや喫緊の課題となっている。週刊朝日ムック『医者と医学部がわかる2022』で取材した宮野悟特任教授(東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター・センター長)に、話を聞いた。
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2020年4月に誕生した、東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター(東京都千代田区)。ソサエティ5.0時代の新しい医歯学研究・医療・教育をデータサイエンスの面で支援することを目的に設立された。膨大なバイオメディカルデータを扱える人材を育成し、創薬や新しい治療戦略につなげることを目指している。
同センターのトップに就くのが、宮野悟特任教授。「医療データのデジタル化は世界的な潮流で、世界中のどこでも行われている。一方で、それをどう利活用していくかが、最もハードルが高く、課題だ」と指摘する。それを解決すべく、東京医科歯科大学では現在いくつかのワーキンググループで議論がなされ、具体的なプランが練られているという
宮野特任教授はゲノム研究の第一人者として、まさにバイオメディカルデータを扱ってきた一人だ。現状ではどんな状況になっているのだろうか。
「わが国ではゲノムのデータ活用に関しては、院内かつ特定のものに限って扱うことができるようになっています。実際に2年前から始まっているのが、『エキスパートパネル』です。これは、がんに関係する特定の遺伝子を調べることで創薬や治療法の選択を決めるもので、がん診療連携拠点病院などで始まっています。今、厚生労働省は全ゲノム解析に基づく医療を全速力で進めています」
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