2019年参院選の選挙公報の岬氏の部分
2019年参院選の選挙公報の岬氏の部分

「減税日本では最初、別の候補者を検討していたがダメになり、急きょ、他県の元知事の推薦もあって岬氏を擁立する話になりました。選挙公報の作成も必要なので、面接の際には履歴書などを持参するよう伝えました。面接している時に、亜細亜大学の非常勤講師をしていたとの話があり、岬氏自身がペンで履歴書に書き込んだんです。『2013年』など具体的に務めていた年度を話し、メモにすらすらと書いていきました。選挙に出馬しようとする人物がウソをつくこともないだろうと……」

 この点について、亜細亜大学に取材を申し込んだが、「個人情報なのでお答えできません」との回答だった。

 しかし、AERA dot.が入手した、亜細亜大学が3月に作成した内部資料には、「岬麻紀」「岬まき」、そして本名の「小出麻紀」という名前の人に、非常勤講師を委嘱した記録はない、と書かれていた。

 岬氏は「株式会社ポリッシュ」という会社の社長であることも、選挙公報に記されている。その法人登記簿では「小出麻紀」となっており、15年10月に社長に就任している。

 河村市長にも詳細を確認すると、

「減税日本の中でも、岬氏の経歴を確認すべきだとの話があり、19年参院選の履歴書なども含めて調査した。亜細亜大学から、岬氏が非常勤講師だったことはないという内容の回答を文書で得たので、岬氏に事情説明を求めようと、4月終わりに電話を入れたが応答がなく、折り返しもない。党としては岬氏と連絡がとれないのでこれ以上、調査のしようがない」

 と話した。その上で、

「弁護士と協議して、刑事告発するかどうか最終的に決めようと考えていた段階だ。疑いを持たれる時点で候補者として失格だ。減税日本公認としたことに対して、有権者におわびしなければならない。情けないことだ」

 との考えを述べた。

 昨年の衆院選は、日本維新の会単独の公認だった。選挙区の愛知5区は、大村秀章・愛知県知事へのリコール署名偽造事件で逮捕・起訴された、田中孝博被告(公判中)が当初、日本維新の会から立候補する予定だった。事件が発覚し田中被告が出馬を撤回。その後、岬氏が候補者となった。

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