芸能リポーターの井上公造氏(65)が3月末をもって、出演していたすべてのテレビのレギュラー番組から卒業。昨年末に「芸能リポーターを卒業します」と宣言していたが、約束を実行した形だ。4月3日に公開されたインタビューでは、テレビの仕事やいわゆる芸能リポーターという仕事からは退くが、今後は「コネクター」と呼ばれる、芸能界と地域や人とをつなぐ仕事をしていくと話している(「ORICON NEWS」4月3日配信)。
【写真】井上氏が「薬物逮捕より復帰遅いのはおかしい」とかばったタレントは?
そもそも芸能リポーターという職業は不思議な肩書だ。「芸能ニュースがあったときにワイドショーなどで解説している人」というのが一般的な認識だろう。かつて、芸能人と一般視聴者との間には大きな溝があり、タレントたちが実際にどんな生活をしていて、何を考えているのかはほとんど知られていなかった。一般大衆が興味をそそる、芸能人の“知られざる部分”を取材して紹介するのが芸能リポーターの役目だった。しかし近年、その存在意義は薄れつつある。民放情報番組ディレクターは言う。
「故・梨元勝さんは芸能プロやタレントに忖度せずに、裏側を暴いていく一面がありましたが、それは特異なケースです。現在、ほとんどの芸能リポーターは基本的に芸能事務所やタレントと直接つながり、彼らと良好な関係を保ちながら、情報を調整して視聴者に伝えるポジションです。井上公造氏自身も、梨元さんの言としながら『密着と癒着は紙一重』と話していますが、ほとんどのケースで、彼らは芸能プロと癒着しながら、まずは事務所にお伺いを立てて、テレビで話していいところを決めています。中には都合の悪い話をごまかしたり、ぼかして世論をそらしたりといった“工作”をする人もいます。番組サイドとしても、“芸能界に入り込んでいる感じ”を演出する小道具のような存在です」
過去にワイドショーの制作に携わっていた放送作家もこう述べる。
「テレビがメディアの王様だった頃は、大手芸能プロは芸能リポーターの“使い方”を熟知しており、しきりに彼らを接待していました。タレントのコンサートに招待したり、お歳暮を贈ったり、高級な飲食店でごちそうしたり。しかし今は、どれだけ彼らを接待をしても、週刊誌やネットの芸能スキャンダルは止められません。近年、芸能スキャンダルは『週刊文春』の独壇場で、忖度なしで徹底的に取材をし、世間を揺るがす大スキャンダルを送り出し続けています。さらに最近ではTwitterの情報配信者・滝沢ガレソや暴露系YouTuberのガーシーこと東谷義和氏のような人たちも出現しています。芸能リポーターが入り込む“隙間”はなくなっています」