旧社会党時代の山下八洲夫元議員(1994年)
旧社会党時代の山下八洲夫元議員(1994年)

 現職の国会議員になりすまし、東海道新幹線のグリーン券などをだまし取ったとして、愛知県警は5月8日、元衆・参院議員の会社役員・山下八洲夫容疑者(79)=岐阜県中津川市=を詐欺と有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。調べに対し山下容疑者は「議員時代を忘れられなかった」と話しているという。

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 山下容疑者は4月27日、JR東京駅の窓口で国会議員が使用できる「国会議員指定席・寝台申込書」を使って、東京―名古屋駅間の往復のグリーン券2枚を申し込んだ。その際、自身が現職の国会議員時代に支給されていた、「国会議員用鉄道乗車証」(通称、パス)も見せた。

 JR側は、グリーン券2枚を手渡したが、後でミスがあることに気づき、申込書に記載があった自民党の国会議員に連絡をしたところ、グリーン券を申し込んだのは別人であることがわかった。愛知県警が名古屋駅に現れた山下容疑者を発見し、任意同行を求めたところ容疑を認めたという。

 国会議員には、東京と地元の往復のために、パスか月4往復分の航空券を選択できる仕組みになっている(航空券を3往復までにすれば両方受け取れる)。沖縄や北海道など遠方の国会議員以外は、パスを選んでいるという。パスは、JR全線を無料で乗車できる。新幹線を利用する場合、大半の国会議員はグリーン車に乗っている。

 山下容疑者は1983年の衆院選で、旧社会党に所属し、旧岐阜2区から立候補して初当選。以降、衆院4期、参院2期を務め、2010年の参院選で落選、引退。13年には叙勲も受けた。

 犯行時は、立憲民主党岐阜県連常任顧問という立場だったが、

「月1度の幹事会には出席されていたが、政界引退のような感じでした」

 と岐阜県連幹部は話す。

 なぜ、山下容疑者はパスと申込書を持っていたのか。

 パスの表側には、国会議事堂のイメージ写真の上に、「鉄道乗車証」と印字され、衆・参両院議員の区別、氏名、年齢、有効期限が議員ごとに記され、<旅客鉄道会社全線>と記されている。

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大半の国会議員は、パスは“チラ見せ”するだけ