4月27日の阪神-中日戦で三塁塁審を務めた白井一行審判員
4月27日の阪神-中日戦で三塁塁審を務めた白井一行審判員

 キャンプからの作業もそうだ。例えばけん制球。私はわざとボークになるギリギリのラインを探り、審判員に「どこがボークなのか」「次のこの動作は?」などと確認した。キャンプで「それはボークではない」と言ってもらえれば、その形でシーズンに入っていけた。

 メジャーリーグに行けば、必ず「移籍した投手」には洗礼がある。「メジャーリーグはこういうところだよ」と。人間である以上、「信念」のぶつかり合いが起きることを理解することだ。そのつどカッとしてしまうのか、この審判はこういう傾向があるのね、と次に向かって分析できるかで、心のゆとりも変わる。今回の一件は佐々木にとって良い教訓となるであろう。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2022年5月20日号

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