ウクライナへの侵攻に対する経済制裁が加速するなか、ロシアが急速にミャンマーに近づいている。
現地の報道によると、3月末、ロシアを中心にベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスで構成されるユーラシア経済連合が、ミャンマーで国軍下のミャンマー経済省庁と会談。ミャンマーへの石油・ガス、肥料、農業機械などの輸入を呼びかけている。同じ時期にロシアの大手武器輸出会社ロステックの幹部もミャンマーに滞在している。
4月末には、ミャンマーの国軍トップ、ミンアウンラインがロシア連邦の一つのタタールスタン共和国のルスタム・ミンニハノフ大統領と会談。タタールスタン共和国には、トラック製造の大手カマズの本社がある。5月2日にはカマズがミャンマーでトラック生産をはじめる発表があった。翌3日にはミャンマー国軍がロシアから燃料を輸入する協議を開始。6日にはミャンマーの国軍系銀行2行が、ロシアの銀行との提携を発表している。
ミャンマー国軍はもともとロシアと親密な関係にあった。
クーデターを起こした4カ月後には、ミンアウンラインがロシアを訪問。国軍の軍事代表団もロシアとの協議に向かっている。このときは主に武器の買い付けが目的だったといわれるが、ここにきて、燃料の輸入や経済協力が加わってきている。
ミャンマー国軍の国民への弾圧は激しさを増している。2日には国軍がザガイン管区の僧院に踏み込み、9人が殺害されている。10日から12日にかけ、ザガイン管区の2千を超える村が焼かれ、20人を超える黒こげの死体が発見されている。
クーデターを起こした国軍下のミャンマーへの経済制裁もあり、ミャンマーの通貨、チャットの価値が急落。燃料の買い付けが減少し、ガソリン代は3倍になり、国内の火力発電所もいくつかは操業を停止している。
そこに国軍に対抗する国民防衛隊(PDF)の送電線の爆破が加わり、ヤンゴンでも計画停電が続いている。ひどい地区は1日8時間の停電だという。もともと雨期前のいまは水力発電用の水が少なくなり、停電が起きやすかったが。