オマージュが満載の最終作「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」。見覚えのあるポーズを取るアラン・グラント博士(サム・ニール・左)、メイジー・ロックウッド(イザベラ・サーモン〉、オーウェン(クリス・プラット)(c) 2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.
オマージュが満載の最終作「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」。見覚えのあるポーズを取るアラン・グラント博士(サム・ニール・左)、メイジー・ロックウッド(イザベラ・サーモン〉、オーウェン(クリス・プラット)(c) 2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

 この3人の登場シーンには随所に旧作へのオマージュが盛り込まれているが、他にも旧作からのファンを喜ばせるサプライズがある。

ディロフォサウルス(c)2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.
ディロフォサウルス(c)2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

 ディロフォサウルスの再登場だ。シリーズ第1作で、肥満のシステムエンジニアにユーモラスな動きをしつつ近づき、鮮やかなフリル(襟巻き)を広げて、毒を吐き襲い掛かったシーンは、深く印象に残った。

『知識ゼロからの恐竜入門』などの著書があるサイエンスコミュニケーターの恐竜くんの解説によれば、

「フリルと毒はフィクション。毒は原作の小説から、フリルは映画のビジュアルとして考えられました。すごくいいアイデアだと思うけど、そのふたつがあった確率は低いでしょうね」

 そのうえ映画では小型恐竜として描かれるが、実際は大きいという。

「今で言うとガタイの良いヒグマくらいの大きさ。その時代の頂点捕食者というべき肉食恐竜です」

 93年の第1作大ヒットの要因として、当時はまだ珍しかったCGをフルに活用した迫力ある映像が挙げられる。

 それは今作も同様。

 この30年でCG技術は大いに発達したうえ、コリン・トレボロウ監督はアニマトロニクスという生物を模したコンピューター制御ロボットを駆使する撮影も多用する。

 前述のディロフォサウルスのシーンで、アニマトロニクスが大活躍する。CGは一切使わず、11~12人ものスタッフがアニマトロニクスを操ることで、リアリティ溢れる動きを表現している。最終作でもフリルを開いて毒を吐くのか、楽しみである。

(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2022年8月5日号

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