この3人の登場シーンには随所に旧作へのオマージュが盛り込まれているが、他にも旧作からのファンを喜ばせるサプライズがある。
ディロフォサウルスの再登場だ。シリーズ第1作で、肥満のシステムエンジニアにユーモラスな動きをしつつ近づき、鮮やかなフリル(襟巻き)を広げて、毒を吐き襲い掛かったシーンは、深く印象に残った。
『知識ゼロからの恐竜入門』などの著書があるサイエンスコミュニケーターの恐竜くんの解説によれば、
「フリルと毒はフィクション。毒は原作の小説から、フリルは映画のビジュアルとして考えられました。すごくいいアイデアだと思うけど、そのふたつがあった確率は低いでしょうね」
そのうえ映画では小型恐竜として描かれるが、実際は大きいという。
「今で言うとガタイの良いヒグマくらいの大きさ。その時代の頂点捕食者というべき肉食恐竜です」
93年の第1作大ヒットの要因として、当時はまだ珍しかったCGをフルに活用した迫力ある映像が挙げられる。
それは今作も同様。
この30年でCG技術は大いに発達したうえ、コリン・トレボロウ監督はアニマトロニクスという生物を模したコンピューター制御ロボットを駆使する撮影も多用する。
前述のディロフォサウルスのシーンで、アニマトロニクスが大活躍する。CGは一切使わず、11~12人ものスタッフがアニマトロニクスを操ることで、リアリティ溢れる動きを表現している。最終作でもフリルを開いて毒を吐くのか、楽しみである。
(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2022年8月5日号