「権八」「モンスーンカフェ」「ラ・ボエム」などの飲食店を運営する「グローバルダイニング」が、昨年のコロナ禍で東京都が出した時短命令について、「営業の自由を保障した憲法違反する」などとして都を訴えた裁判。東京地裁は5月16日、「命令を出す必要性があったとは認められず、違法というべき」などとする判決を出した。原告側弁護団の倉持麟太郎弁護士に、コロナ禍での飲食店の置かれた状況や、行政の対応の問題点について聞いた。
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「店舗内の換気や消毒は合理的な範囲で徹底しており、クラスターも発生していません。都は対象施設を十分に調査・確認することなく、営業自粛を命令しました。それも4日間のみです。本当に命令する必要性があったのでしょうか」
同社は都内を中心に、広く飲食店を展開している。昨年1月、2回目の緊急事態宣言が出ると、都は飲食店に午後8時までの時短営業を要請。3月には、同社の26店を含む計32店に対し、特別措置法に基づく時短命令を出した。
この点について判決は、都から同社への時短命令は違法と認めたが、都に過失はなかったとして、賠償請求は退けた。 倉持弁護士が続けて話す。
「都の調査だと、2回目の緊急事態宣言下では、2千店舗以上が時短要請に従っていなかったのですから、狙い撃ちでもあり、見せしめです。命令の公正性が担保されていないのではないでしょうか」
倉持弁護士は、神奈川県の対応についても説明した。
「神奈川県は21年4月、命令を出す直前、グローバルダイニングに対し、弁明の機会を与えました。そのときには緊急事態宣言ではなく、まん延防止等重点措置が県内に出されていました。重点措置では休業要請が出せないものの、一部店舗では酒類の提供禁止の要請は実質的な休業にあたります。弁明の機会付与の通知が届いたとき、酒類に関する命令は違法で、命令を出したら訴えると返信しました。それ以降、グローバルダイニング宛てに県からの要請がきたことはありません。県も、法的根拠がないと認識したのではないでしょうか」