周りに人がいる環境というと、有料老人ホームなどの高齢者ホームを思い浮かべます。確かに安全で安心ではありますが、ホームによってはサービスが行き届きすぎて、いまある機能を維持しにくくなる可能性があります。安全性を重視するあまり、やってはいけないことが多くなり、自立性を保つことも難しくなりそうです。

 三世代同居はどうでしょうか。安全で安心、家族に囲まれていますが、「おじいちゃん」「おばあちゃん」の役割を割り振られて、すっかり「年寄り」扱いされてしまいます。さらに日常生活では「やってもらう」ことが多くなり、やはりできることが減っていくリスクがありそうです。

 川口氏は「同世代の人が周りにいる環境がおすすめ」と言います。若い世代との交流で若さをもらうという考え方もありますが、どうしても年長者の立場になり、高齢ということもあって大切にされがちに。

「『おじいちゃん』『おばあちゃん』と呼ばれ続けると、その通りになってしまいます。その点、同世代だと、みな同じような年齢ですから過剰に大切にされることもなく、若いままの気持ちでいられます。仲良しグループや同級生が集まって同じマンションに住むのが理想的ですね」

 なかには、人とのつきあいはトラブルもあるだろうし面倒、一人が気楽、という人もいるでしょう。なにも集団の中に入って一緒に活動をする必要はありません。人がいる環境に「いる」だけでいいのです。

「孤独でいてもかまいません。でも孤立はいけません。近くにいて別なことをしていればいいのです。できるだけ人の中に出て行くことが大切です」(川口氏)

■幸せそうな人の近くにいると幸せになれる

 住み替え条件の三つ目のポイント、「幸せそうな人」「素敵な人」の近くにいることも重要です。幸せそうな人の近くにいれば、こちらの気持ちも明るくなることは想像がつきます。ぎすぎすした人に囲まれていたら、毎日を気持ちよく過ごせるわけがありません。幸福感は伝染するものです。

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「素敵な人」とは、自分らしく生きている人