監修/入谷栄一先生
監修/入谷栄一先生

■ストレスが引き金となって起こる心身症に悩む人が増えている

 近年、増えている「心身症」は、心理・社会的ストレスが原因となって発症したり、症状が悪化したりする体の病気の総称で、代表的なものに過敏性腸症候群(IBS)、機能性ディスペプシア、アトピー性皮膚炎、本態性高血圧、頭痛などがあります。

 これらの場合、症状を抑える治療だけでは再発を繰り返すケースが多く、病気の背景にあるストレスに対するアプローチが必要となります。

 同じく心理・社会的ストレスによって発症する神経症、うつ病などの精神疾患も、その多くが体の不調を伴います。

 不調が続く場合は放置せず、きちんと医療機関を受診するようにしましょう。ストレスを感じ、不定愁訴(疲労感、頭重感、めまい、イライラ、よく眠れないなど)があるなら、まず心療内科に相談するのもよい方法です。

■心身症の一例

<頭痛>
検査をしても異常が見つからない「機能性頭痛(慢性頭痛)」の中でも、緊張型頭痛や片頭痛はストレスが引き金になりやすい。

<アトピー性皮膚炎>
アレルギー性の炎症で皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを伴う湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す。

<本態性高血圧症>
高血圧の中で、血圧が高くなるはっきりとした原因が特定できないもの。日本人の高血圧の約90%が該当する。

<機能性ディスペプシア>
胃もたれやみぞおちあたりの痛み、膨満感など腹部に慢性的な症状が続くが、検査をしても明らかな原因が見られない。

<過敏性腸症候群 (IBS)>
腹痛や腹部不快感を伴う便通異常を繰り返す。下痢型、便秘型、下痢と便秘を交互に繰り返す交代型の 3 パターンがある。

■ストレスマネジメントを日々の生活の中で実践しよう

 ストレスにどのように対処し、どのようにつき合っていくかを考えることを、ストレスマネジメントといいます。ストレスマネジメントでは、ストレス耐性を高める(傷つかない)ことと、回復力を高め(傷ついても回復できる、傷つきながらも進んでいける)ことの両方を目指していきます。そのためにはまず、ストレスを自覚することから始め、ストレッサーへの対処の仕方(コーピング)を身につけていくことが大切です。

 ストレッサーそのものに働きかけて問題解決ができない場合は、ストレス解消の手段をもつことが助けになります。気晴らしの旅行や趣味などもよい方法ですが、たまに何かするより毎日の生活の中でこまめに解消し、心身を回復することを心がけましょう。

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