「ストレス社会」といわれるように、現代人の多くがストレスを抱え、そこから現代ならではの様々な問題や病気が生まれています。時間に追われたり、対人関係に悩んだり、将来に不安を感じたりといった毎日が、知らないうちにストレスをため込み、心と体のバランスを崩しやすい状況をつくっているのです。ストレスをいかにマネジメントしていくかは私たちが心身の健康を維持していく上での要といえます。ストレスとしっかり向き合い、よりよい対処方法を探っていきましょう。今回は、いりたに内科クリニック院長の入谷栄一先生にお聞きしました。本記事は、日本メディカルハーブ協会HPの記事を一部改変してお届けします。
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■ストレスを受けると、体に何が起こる?
ストレスは、冷えから胃腸障害、肌トラブル、うつ、がんまで、心と体の多くの問題に関係します。ストレスがどのように病気を引き起こすのか、その体内メカニズムを理解しましょう。
■ストレスに対する防御反応がやがて病気を引き起こす
私たちの体は自律神経、ホルモン(内分泌)、免疫の働きによって健康が保たれています。
ストレスの情報は、まず脳の中の大脳辺縁系という部分でキャッチされ、その情報が自律神経系と内分泌系に伝わることによって、身体に様々な影響を及ぼします。
人は強い刺激を受けて緊張すると、血圧が上がったり脈が速くなったりします。これは自律神経のうち“戦闘モード”の交感神経が優位になり、血管が収縮するためです。同時に筋肉は硬くなり、呼吸は速く浅くなり、体温は低くなります。
また、ストレスを受けると、副腎から抗ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが多量に分泌されます。コルチゾールは体の様々な臓器に作用して、血糖値の上昇や血圧の上昇、心拍数の上昇などを引き起こします。
■ストレスが不調を引き起こすメカニズム
ストレスを受けると、体はそれに対抗するために交感神経の働きを強めたり、抗ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を盛んにしたりして臨戦態勢に入ります。この状態が続き、体が対抗しきれなくなると、心身に不調が起こることになります。