西武時代のデニー友利(OP写真通信社)
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 近年は乱闘シーンもあまり見られなくなったプロ野球だが、かつては当事者でもないのに、仲間が死球を受けたり、ラフプレーの被害にあったことに激高し、結果的に乱闘の主役になってしまった選手も多く存在した。

 本塁上の猛タックルで捕手が吹っ飛ばされたのを見た投手がぶち切れる事件が起きたのは、1998年4月28日の近鉄vs西武だ。

 3対3の8回1死二、三塁、西武の4番手・デニー友利は、礒部公一をカウント2-2から一ゴロに打ち取った。

 ファースト・高木大成がすぐさまバックホーム。三塁走者・ローズは本塁手前でタッチアウトになったが、勢い余って捕手・伊東勤に激しくタックルする形になった。

 体重100キロの巨体が全速力で突っ込んできたのだから、たまらない。伊東は吹っ飛ばされ、仰向けにひっくり返った。

 直後、怒りをあらわにしたデニーが本塁に駆けつけ、「ラフプレーだ!」とローズに詰め寄る。血の気の多さではローズも負けていない。「問答無用!」とばかりに両手でデニーを突いた。たちまち両軍ナインが集まり、二人を引き離しにかかる。エキサイトしたデニーはグラブを投げつけたが、体の自由を奪われてローズに当たらない。もみ合いの輪の中で、ラービーが「お前が悪い」とばかりにローズに食ってかかる場面も見られた。デニーを取り押さえた須藤豊ヘッドコーチも「審判がそれなりのジャッジをしないと、ホームが無法地帯になってしまう」と警鐘を鳴らした。

 だが、コリジョンルール導入前とあって、ローズのプレーは問題にならず、審判団も退場者なしでことを収めた。

 その後、怒りを闘志に変えたデニーは延長10回まで3イニングを無失点に抑えて降板したが、11回サヨナラ負けという結果に、「(8回の行動は)かえってチームに悪いことをしてしまったかも」と反省していた。

 今度は同じく近鉄時代のローズが「仲間をやりやがったな!」と怒りを爆発させた事件である。03年5月21日、相手は因縁の西武、ところも同じ大阪ドームだった。

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