──拡大抑止は、日米両首脳が会談後に発表した共同声明でも繰り返されました。
ただ、拡大抑止はお題目だけではだめです。抑止で最も大事なのは信憑(しんぴょう)性です。「抑止」というのは戦争が起きていない、つまり平和であることを言います。絵に描いた餅ではなく、他国の人々、それも専門家に信憑性を持って恐怖心を抱かせることができなければ抑止になりません。抑止は核だけではありません。通常兵器や共同演習などで示していく。このことが平和を維持していく方法です。
■インドを取り込む利益
──今回、新たな経済連携として「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」が立ち上がり、日米豪印4カ国による協力の枠組み、QUAD(クアッド)首脳会合も開かれました。中国に与える影響は何でしょうか。
中国と向き合う道具立ては整いつつあるように思います。特にクアッドでは、非同盟外交を掲げるインドをこちら側に取り込むことができた利益は大きいです。地理的に中国を囲むことができます。
そして何より、バイデン大統領がわざわざ日本を訪問した意義は大きかったと思います。しかも今回、中国を訪問していません。いかに日本が米国にとって重要な国で、イニシアチブを発揮することが期待されているかというメッセージにもなっています。今回の会談で、「日米」は揺るぎないことを確認できたと思います。
(構成/編集部・野村昌二)
※AERA 2022年6月6日号
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