こうした方法は「外堀を埋める」とも言われますが、会議前にすでに勝負がついているのですね。なお、自分がそのターゲットにならないようにするには、自分の担当外であっても社内の主要プロジェクトに注意を払うとともに、日頃から他部署のキーパーソンと関係を構築しておくことが予防になります。ターゲットになりそうになっても、そのことをこっそりと誰かが知らせてくれるはずです。

■「相手に影響力を持つ第三者を登場させる」方法

 先に述べた事例のB省庁を説得するために、議員の存在をチラつかせて「議連を構成する複数の議員がこの件では強く関心を持っていて、今日も呼ばれて圧力をかけられました」などと強調する方法を用いたのですが、この方法は上司を説得するときにも有効です。

 例えば、あなたがやりたいプロジェクトがどうしても課長の了解が得られずに実行できそうもない。このようなとき、あなたはどうしますか?

 課長の上司である部長から指示を出してもらう方法もありますが、それは最後の手段としておき、まずは課長が反対している理由を突き止めることです。課長が反対している合理的な理由があるなら、それをクリアすれば良いのですが、単に優柔不断であるなど、特に合理的な理由が見当たらない場合には、課長が弱い相手が誰かということを調査します。そして、その課長が弱い相手に説得させるのです。この場合、「弱い相手」は人間だけとは限りません。例えば、論文や新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどメディアに弱い人はとても多いです。そのような場合は掲載記事を収集したり、つてをたどってメディアへの掲載を働きかけることも有効な手段となります。弱い相手の候補は以下の通りです。

・業界団体のトップの発言
・国や地方自治体などの行政機関
・論文(特に海外論文に弱い人がいる)
・新聞、雑誌、書籍
・ラジオ、テレビ

 ですから、上司に影響力がある第三者の存在を、普段から見極めるようにすることが重要です。上司との何気無い会話やよく見ているテレビ番組や新聞・雑誌、付き合いのある人物や交友関係などを注意深く観察すると良いでしょう。

●久保田崇(くぼた・たかし)
静岡県掛川市長。1976年静岡県生まれ。京都大学総合人間学部卒業後、2001年内閣府入り。ニート対策を内容とする「子ども・若者育成支援推進法」の制定などに携わる。東日本大震災後のボランティア活動を契機として、11年より岩手県陸前高田市副市長を務める。16年立命館大学公務研究科教授、19年より掛川市副市長に就任、21年より現職。

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