すなわち、企業で言えば副社長や役員に相当する私の省の事務次官級幹部Xから、B省庁の同クラスの幹部に電話を入れてもらったのです。失礼になってはいけないのであくまでもソフトに「今ウチの省庁としてはそちらの担当課にこの件で相談しているのですが、ご存じですか? そちらの立場もあるかと思いますが、ここはひとつよろしくお願いします」といった内容です。

 効果はてき面でした。B省庁では課長までしか報告が上がっていなかったので、その電話を受けた幹部から課長にその話が落ちてきたときに、驚くと同時に大騒ぎになったそうです。実際にはこれだけで合意に至ったわけではありませんが、少なくともこちらの真剣さは伝わり、交渉のテーブルについてもらうことは可能となりました。

 この件では、合意に至るまでにさらにもう一つの手を使いました。先に合意したA省庁と合同して、B省庁にプレッシャーをかけたのです。具体的には、この件に非常に関心のある国会議員が与野党合わせて構成している議連(議員連盟)の場で、「本件は放置できない重要な問題と認識していますので、A省庁とウチではこのような案で対応しようと合意に至りました。ところがB省庁が協力してくれないので前に進みません」と報告するぞと半ば脅したのです。こうした方法のかいあってか、A省庁と合同して押し切る形でなんとか合意に至ることができました。

 この事例では、副社長級幹部Xを使って「上から落とす」方法と、A省庁と「合同してプレッシャーをかける」方法および「相手に影響力を持つ第三者(議員連盟)」を用いていますが、これは組織内の説得という小さなレベルから取引先との交渉といった大きなレベルまで応用が利くものです。以下に使用方法を詳細に解説します。

■「上から落とす」方法

(例)あなたの上司である課長が困った人で、誤った決断をして困るとき、課長の上司である部長に裏で話を通しておき、部長から課長に指示をしてもらう。

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも
次のページ
上司を使って「相手側の上司」を巻き込む