通説の通り、他人と自分を比べても良いことは起こらないと私も思います。しかし、「いまこの瞬間に、こんなことで悩んでいるのは自分だけではない」という他者との気持ちの共有は、今日をやり過ごす力にはなると思います。
ポイントは、「いまこの瞬間」であること。経験者や年長者は「過去に私も同じことで悩んだよ」とは言えますし、解決方法を提示することもできます。それが役立たずとは言いませんが、やはり過去の話は、ある種の対岸の火事。
我々年長者は、悩める若者になにができるのでしょうか。「私もそうだった」「気にするな」「大したことじゃない」ではなく、「そうだね、つらいね」と、まずは寄り添うことでしょう。これがとっても難しいんだけど。だって、その局面を経て立ち直ったからこそ、この場にいるのだから。
リモートワークも増えた昨今、職場の年長者に心を開くのは簡単なことではありません。日頃から注意深く観察して、ガス抜きをしてあげられるように努めたいものです。
※AERA 2022年6月6日号