新型コロナが確認されてから、もう2年以上も韓国に行けていない。韓流の沼にはまった記者が「韓国ロス」を癒やすため、日本で韓国を探し歩いた。AERA 2022年6月6日号より紹介する。
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「韓国が足りないよね」
一緒に韓流の沼にはまった友人が、うめくように言った。
コロナ前、東方神起にBIG BANG、BTSなどのライブへ行っては、友達との感想戦に夢中になった。K-POPがきっかけで韓国にも行くようになった。おいしいご飯を食べ、サウナに行き、買い物をして……。リクルートライフスタイルの「エイビーロード海外旅行調査2019」でも、韓国は台湾、ハワイに次いで3位の人気旅行先だった。
それなのにもう2年以上も、韓国に行けていない。いまは日本人が韓国に行く場合はビザが必要で、ビジネスなど特別な渡航目的以外では、ビザは発行されない状況だ。
ネットフリックスで韓流ドラマを見ても、ユーチューブで動画をあさっても、新大久保に行っても、やっぱり韓国が足りない。ぽっかり開いた穴を埋めるべく、日本で味わえる韓国を探し歩くことにした。
■外観はハングルのみ
まず、韓国通の友人が教えてくれたのが、京都市内にある「ミリネヤンコプチャン」というホルモン焼きのお店。阪急京都線の京都河原町駅から徒歩5分ほどの場所にある。韓国・釜山では牛のミノと小腸を焼いて食べる「ヤンコプチャン」が名物で、釜山には、このヤンコプチャン屋が軒を連ねる「ホルモン通り」がある。オーナーの全敞一(ぜんしょういち)さんが実際に行って感動し、その店を忠実に再現した。
「韓国“風”ではなく、空気感も含めて、韓国にある店をそのまま再現したかったんです」
そう全さんが話す通り、店の外観はハングルのみ、窓に貼ってあるハングルはフォントまでこだわった。店内はブロックに分かれ、韓国スタイルの長椅子が置かれる。アルミの皿やコップなどの食器は韓国のものを取り寄せた。
ブロックごとにいる店員が肉を焼いてくれるのも釜山流。全さんのオススメのテッポウは、日本では開いて提供することが多いが、ここでは韓国式に筒状のままで焼く。ホルモンをつまみながら、マッコリや焼酎を飲めば、まさに韓国だ。