週刊朝日 2022年6月10日号より
週刊朝日 2022年6月10日号より

 濾過機能の主役はネフロンで、一つの腎臓に100万個ほどある。一つのネフロンは血液を濾過して尿の元である原尿を作る「糸球体」と、原尿から有用成分を再吸収する「尿細管」で構成されており、成人では1日に約180リットルもの原尿を作る。180リットルといえば家庭のお風呂1杯分に相当する量だ。

 尿細管で再吸収された有用成分は再び体内に戻され、残りが尿として1日1・8リットルほどが体外へ排出される。ネフロンはいわば“消耗品”で、年とともに減っていく。一度減ると再生しないため、ネフロンの数を維持することが大切になってくる。

 腎臓の機能を維持するためにはどうすればよいのか。筑波大学の山縣邦弘教授(腎臓内科学)はこう語る。

「誰しも加齢により腎機能が衰えますが、余計に下げる要因があればそれを取り除くことが大切。現在、腎不全で人工透析を行っている人で一番多いのは糖尿病。糖尿病にならないように血糖値を低く保ち、肥満、運動不足、カロリー過多を防ぐことです。次いで多いのが高血圧。生活習慣、食事の改善とともに、高血圧の薬を飲んで血圧をしっかり管理しましょう」

 食生活を考える上では、糖分や塩分などの摂りすぎを避けるべきだと考えられるが、前出の黒尾教授は特に注意すべき物質として、リンをあげる。

 リンは酸素、窒素、炭素、水素、硫黄と並んで、生命に必要な6大元素の一つ。カルシウムとともに骨を形成する成分だ。肉や魚、乳製品など様々な食品に含まれている。普通の食生活ならば不足する心配はなく、むしろ注意すべきは過剰摂取。排出のために腎臓に大きな負担をかけてしまう。

■吸収されやすい添加物中のリン

週刊朝日 2022年6月10日号より
週刊朝日 2022年6月10日号より

 リン含有量が多い食品の一例を挙げると、乳製品の牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズ。卵類の卵、たらこ、いくら。魚介類のどじょう、ししゃも、煮干し、桜エビ、するめ、さんま、まぐろ(赤身)、しらす干し。肉類の豚レバー、ウィンナー、ロースハム。植物性の食品としては玄米や大豆、豆腐、アーモンドやカシューナッツなどもリンの含有量自体は多い。ただ、食品ごとに体への吸収率は異なり、一般に肉や乳製品など動物由来の有機リンは吸収されやすく、植物由来の有機リンは吸収されにくい傾向があるという。特に大豆のリンは体にまったく吸収されない「食べてもいいリン」。肉や乳製品も食べすぎなければ問題はなく、やみくもに避ければよいわけではない。前出の山縣教授はこう語る。

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