滝藤:ありますよ。7年ぶりぐらいに現場でお会いしたときに、仲代さんが入られるのを入り口で待ってたんですけど、僕の顔を見た瞬間、肩をバチンと一回たたかれて、何も言わずにスーッと行かれました。

林:「よくやってるじゃないか」という無言のお褒めの動作だったんじゃないですか。

滝藤:だったんですかね。そのとき、僕、涙がとまらなかったですね。無名塾の外でご一緒することを、一つの目標として頑張ってきたので、すごくうれしかったです。そのときを含めて2作品ご一緒させていただきました。

林:それは映画ですか。

滝藤:ドラマです。WOWOWとNHKで。仲代さんと僕の2人のシーンでは、スタッフみなさん正座です。畳の部屋で。もう緊張しましたよぉー。

林:でも滝藤さん、また舞台やりそうな気がしますよ。舞台は麻薬みたいなものでやめられないって言うじゃないですか。

滝藤:「無名塾」に10年いましたけど、「無名塾」の芝居には4作しか出てないんです。在籍中も青年座のスタジオ公演に出たり、とにかく自分が芝居をする場所を小劇場に探し求めました。舞台でしか演じる場所がなかった。開場時間ギリギリまで客席を並べたり、5人出てる舞台でお客様2人とかありました。なので、舞台が楽しいっていう感じがあんまりないんですよね。

林:主役をやれば楽しいですよ。

滝藤:楽しいですかね……。今は舞台よりも映像のほうをやりたいと思ってます。やれることがまだまだいっぱいあると思うんで。一つひとつの作品に丁寧に向き合って、大切にやっていきたい。なんなら打ち合わせから参加したいぐらいです。やれることを、やれるだけやってから、作品にのぞみたいです。

林:オファー、いっぱい来てるんでしょう?

滝藤:それが、事務所は「いまの作品に集中して、これが終わったらお話ししましょう」と言ってくれているので、先々どんな仕事が、という情報はぜんぜん知らないんです。

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