私が「亜鉛欠乏」をきたしてしまった要因は何だったのか。やはり、摂取量が不足していたことは否めないと考えます。特に、コロナの流行が始まってから、外食する機会が激減したことの影響は大きいと感じます。和食にしろ、洋食にしろ、少なくとも自宅での食事よりも品数は断然多く、結果的にいろんな栄養を摂取できていたように思います。
私の場合、外食が減った代わりに自炊が増えたかといえばそうでもなく、恥ずかしながら、炭水化物中心の適当な食生活を送っていたことは否めません。それに加えて、元々偏食がちであったこともあり、食べたいものを飽きるまでずっと食べ続けられる性格なのも、要因の一つであったと考えます。
亜鉛欠乏であることがわかってからは、内服による亜鉛補充と共に、炭水化物中心の食生活ではなく肉や魚を意識して摂取することから始めています。それに加え、スーパーマーケットで冷凍の牡蠣を購入し、ストックするようにしました。一人暮らしのせいか、どうしても適当になりがちだった食生活ですが、痛い目を見てようやく大切さを自覚した、そんな経験となりました。
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)