「山手のドルフィン」からは行き交う船と、夜はコンビナートの瞬く光が見える
「山手のドルフィン」からは行き交う船と、夜はコンビナートの瞬く光が見える

ユーミンファンでなくても、この景色、夜景はとくに奇麗なので、きっと楽しめるはずです。自分もユーミンファンなので、ここで働けることを誇りに思います」

 ミュージックシーンで常にトップを走るユーミンは、駒澤大学陸上部を応援しているのを公言している。21年に駒澤大学が箱根駅伝で優勝した際、「駒澤ー! ヤッターッ!!」とツイッターで喜びを表した。

「元々は松任谷正隆さんが、うちの学生が練習で走る姿を見て、ひそかに応援してくださっていたようです。うちの大学が箱根駅伝で優勝したとき、正隆さんのラジオ番組に出演したことがきっかけで親しくさせていただくようになりました」

 と駒澤大学陸上部監督の大八木弘明さんは話す。正隆さんの応援の影響もあり、ユーミンも駒澤大学を応援するようになったそうだ。

 今では毎年12月に、シュークリーム100個を持って激励に来てくれるそうだ。

「陸上部の寮がユーミンの家により近くになったので、夫婦で歩いていらっしゃいます。12月になるとユーミンが来るって、部員たちはみんなドキドキですよ」と大八木さん。

 大八木さんも選手時代に落ち込んだり、スランプになったりしたときユーミンの音楽を聴き、勇気づけられたことがあった。妻がユーミンの大ファンで先日もコンサートに足を運んだそうだ。

「今はご本人からも勇気をもらえ、こんなに心強い味方はいないですね。いつもトップを走ってきたユーミンに力をもらって、今度の箱根ではトップを走りたいと思います」

 ユーミンはデビュー以来、ファンに夢と希望を与え続けてきた。前出の富澤さんは、ユーミンに取って代わるミュージシャンはいなかったし、これからも出てこないだろうと強調する。そしてこう話した。

「昔の力道山、石原裕次郎、吉田拓郎、そしてユーミンと時代のヒーローでありつつ、それを飛び抜けた存在でもありますね。時代を超えて音楽もその人そのものも、愛されていますから。これからも“エージフリーミュージック”のスーパースターであり、時代のカリスマであり続けるでしょうね」

(本誌・鮎川哲也)

週刊朝日  2022年6月24日号