あるときはさわやかな好青年やエリート、あるときはツッパリ、ときには人間ではない存在も……作品ごとに全く違う表情で魅了する俳優・磯村勇斗さん。新たに出演した映画「PLAN 75」の舞台は、超高齢化社会に対応するため、国の制度で75歳以上の高齢者が自ら死を選ぶことができる世界。磯村さんが感じる現代の高齢化社会とは。
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──75歳以上の高齢者が自ら死を選ぶことを国が支援する制度<プラン75>。磯村さんは、その市役所の申請窓口で働く岡部ヒロムを演じますが、ヒロムという役に、どう向き合いましたか?
まずは、実在しない<プラン75>という制度を、どうとらえていけばいいのかなというところから考えていきました。ヒロムは<プラン75>を仕事として淡々とこなしているわけですが、本心ではどう思っているんだろう、そんなことも考えながら作品にのぞみました。
──<プラン75>がもし本当に導入され、磯村さんの身内や友人・知人がそういう立場になったとき、どうしますか?
僕は、人間は自然に生まれたのであれば、自然に死んだほうがいいと思うんです。もし<プラン75>が現実にあって、身近な人がやると言ったら、やっぱり止めます。
──磯村さんご自身がその選択ができるようになったとしても、やはり受け入れませんか?
もちろんそうですね。本来の人間が持つ生命力のようなものを最後まで使いきるほうが素敵ですよね。それを絶つ選択をさせるような世界にならないように、というテーマを持った映画が「PLAN 75」だと思います。
──今の日本も直面している高齢化社会についての考え方を聞かせてください。
この先、僕たちが高齢者になったときに、今の年金制度が続いていて、本当に還元されるのか、ますます増えるであろう高齢者を若い世代が支え切れるのだろうか、支える重みがどんどん増してくるんじゃないか、そういう不安や危機感はあります。ただ、そのいっぽうで、75歳でも元気な方はたくさんいて、まだまだ働きたいという方もたくさんいる。年齢という数字だけで区切ってしまうのはどうなのかなと思うところはあります。