野球ファンが「最強の二遊間コンビ」と聞いて、真っ先に思い浮かべるのは、中日の荒木雅博と井端弘和の「アライバコンビ」かもしれない。2004年から3年連続でベストナインを受賞しただけでなく、04年から6年連続で、ゴールデングラブ賞をコンビで受賞している。荒木は通算2000安打、史上11位の通算378盗塁。05年は「二塁手最多守備機会」の日本記録も作っている。井端は通算1912安打。「2番を打つのが楽しくて仕方なかった」と本人も語っているが、荒木と井端の1・2番コンビは、盗塁、送りバント、ヒットエンドラン、強打と何でもできた。守備においても、荒木が逆シングルキャッチしてグラブトス、井端が素手で捕って一塁に送球するなど、他のコンビではできないような息の合った連係だった。

 過去、ベストナインやゴールデングラブ賞を3度以上受賞しているコンビはほかにもいる。南海の岡本伊三美と木塚忠助は、52年、53年、55年に3度ベストナインを受賞している。岡本は53年の首位打者で、リーグ優勝のMVPにも輝いている。木塚は通算479盗塁。これは阪急の福本豊、南海の広瀬叔功、巨人の柴田勲に次ぐ史上4位の記録で、盗塁王4度。打順は1番・木塚、2番・岡本。蔭山和夫や飯田徳治らとともに「100万ドルの内野陣」と呼ばれた。

 阪急のマルカーノと大橋穣は1975年、76年、78年とダイヤモンドグラブ賞(現・ゴールデングラブ賞)を3度受賞している。マルカーノは、78年に打点王に輝いたように勝負強い打者だった。小柄で小回りが利き、守備もうまかった。ベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞とも各4度受賞している。大橋は、「花の68年ドラフト組」で、強打の遊撃手だったが、プロ入り後は守備の人となった。大橋は阪急移籍の72年から78年まで7年連続でダイヤモンドグラブ賞を受賞し、72年から76年まで5年連続ベストナインを受賞した。76年は打率.191でベストナインに選ばれた。あの落合博満が「守備のうまい選手は?」と問われて、名前を挙げたのは大橋だった。現役時代の大橋を見ていた野村克也は、ヤクルト監督時代の93年から大橋を守備コーチとして招聘し、大橋が育て上げたのが、ゴールデングラブ賞を遊撃手で6度、三塁手で4度受賞した宮本慎也であった。

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