竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、52歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】5月から本格導入を始めた無印良品の商品

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 このところローソンに「あのブランド」が並んでいることにお気づきでしょうか。一昨年、都内3店舗での実験販売から始め、今年5月から「無印良品」の本格導入を始めました。まずは約半年間で関東甲信越地区の約5千店に導入し、来年度中には全国規模に拡大する予定です。

 きっかけは「感じ良い暮らしと社会」という無印良品のテーマに深く共感したことです。いまや英語にもなっている「もったいない」精神を大事にして、本来なら捨てられる原材料も再利用して商品化する。そして感じ良い商品、感じ良い雰囲気、感じ良い暮らしを作っていき、皆にとって感じ良い社会に変わっていけばいいなというその姿勢。「同じ方向を見ているな」と思いました。

 例えばプライベートブランド(PB)の商品デザイン。食品では「私を買って!」と主張するものが主流です。しかし、ローソンでは、もっとさりげなく「冷蔵庫の中でうるさくない」ことを目指して、一昨年にPBのパッケージを刷新しました。このようなことも、「感じ良い暮らし」への思いを共有できる一つだと感じています。

5月から本格導入を始めた無印良品の商品。今後、全国のお店にも広げていきます
5月から本格導入を始めた無印良品の商品。今後、全国のお店にも広げていきます

 無印良品のお店は比較的大きく、多彩な品ぞろえで世界観を表現されています。一方、私たちはコンパクトなお店を日本の隅々まで展開しています。共通する両社の「イズム」を、今回の導入でより多くの方に感じていただけるのではないかとも思います。

 無印良品さんのお店は、小さなお子様が一人で行くにはまだ早い感じですよね。お子様でも一人で入りやすいコンビニで世界観に触れてもらい、大きくなって実際に無印良品のお店に足を運び、「ああ、こういうことだったんだ」と。そんなこともあれば楽しい。お互いに特徴を出し合うことで、私たちが目指しているものに近づけばいいなと考えています。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長