■署名21万筆でも住民投票を拒否? 夢洲カジノ誘致をめぐる「なんでやねん」

大阪府と大阪市が誘致を目指す統合型リゾート(IR)のイメージ図(大阪府のサイトから)
大阪府と大阪市が誘致を目指す統合型リゾート(IR)のイメージ図(大阪府のサイトから)

「大阪都構想」に住民投票で2度もノーを突き付けられた維新が次に掲げたのが、大阪市此花区の人工島夢洲(ゆめしま)へのカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致。2025年の大阪・関西万博の跡地を利用し、29年秋の開業を目指すが、大阪の人々には不安の声がくすぶる。

 市民団体「カジノの是非は府民が決める 住民投票をもとめる会」は6月6日までに、カジノ誘致の是非を問う住民投票の実施を求める署名を約21万筆集めた。請求に必要な約14万6千筆を大きく上回る数だ。同会の山川義保事務局長は大阪IRの問題点をこう話す。

「海外ではカジノの周辺に質屋が立ち並び、犯罪やホームレスも増えてギャンブル依存症が社会問題となっています」

 カジノ計画には採算面でも疑問があるという。

「年間1兆1400億円の経済効果という触れ込みですが、前提となる来場者数は年間2千万人。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)でも最大で約1450万人とされているのに、本当にそれだけの人が来るのか。また、大阪IRに『公的負担はない』という約束だったのに、結局、夢洲の土地改良や土壌汚染対策に790億円の公費負担を決めた。府はプラス面を言うだけで、説明不足ですよ」(山川氏)

 今後、審査を経た署名の有効数が14万6千を超えていれば、知事は府議会に住民投票条例案を提出する義務が生じる。だが、議会では維新が過半数を占め、吉村洋文府知事も「府議会ですでに結論を出しているので、住民投票をする必要はない」と否定的だ。

「IR整備法には『住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない』とあるし、橋下徹元府知事はかつて住民投票を『究極の民主主義』と言った。今回は住民投票をやらないというのは矛盾している」(同)

 IRを推進する自民党の一部からも反対の声が上がっている。6月20日には、自民党の川嶋広稔大阪市議が中心となり「NO!大阪IR・カジノ」を設立した。3月には、大阪府議会の自民党会派に所属する3人の府議が大阪IRに反対するため会派を離脱し、新たに「自民保守の会」を立ち上げた。同会の占部走馬代表はその経緯をこう語る。

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