昨年10月の衆院選で、公示前の11議席を大きく上回る41議席を獲得し、野党第2党となった維新。3月の党大会では次期衆院選で「野党第1党」を狙うとぶち上げた。
朝日新聞社による5月の世論調査でも、参院選での比例区投票先は維新が11%で、立憲の10%を上回った。維新のベテラン・鈴木宗男参院議員は、強気の未来予想を語る。
「全国政党になるには志が高い候補者がどれだけ出てくるか。東京からは音喜多駿政調会長や柳ケ瀬裕文総務会長など、良い若手が育ってきた。参院選に勝ち、次の衆院選で野党第1党、その次の衆院選で政権交代に入るかたちをつくりたい」
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維新の躍進は、どのような人々によって支えられているのか。
大阪・難波の道頓堀商店街には、店頭でTシャツや缶バッジなどの「吉村洋文グッズ」を売る店がある。吉村氏本人の承諾を得ているという。やはり吉村知事の「アイドル」的人気が根強いのか……と思いきや、店員曰く「いま買っていくのは観光客かな。地元の人にはほとんど売れへん」。元大阪府知事の橋下徹氏は、「ふわっとした民意」と形容したが、正体は掴み難い。
一般的に、維新のコア支持層は大阪の庶民や格差に苦しむ若者と考えられてきた。『維新政治の本質』(あけび書房)の著者で関西学院大学法学部の冨田宏治教授もそう思い込んでいたが、認識が変わったのは「都構想」への反対運動に参加したときだという。
「私は西区北堀江の投票所で人々の投票行動をウォッチしました。維新側はイメージカラーのオレンジ色のTシャツを着た運動員が3交代で3人ずつ来た。西区はタワーマンションが林立し、サラリーマンや転勤者が多く住む地域。タワマンから下りてくるのは30~50代の中堅どころで、妻を連れ、維新の運動員に会釈して投票所に入っていく光景を一日中見ました。彼らは、いわば“勝ち組サラリーマン”です」
住民投票の結果からも明らかだが、大阪市内でもタワマンが多く立つ北区や西区、福島区、淀川区、都島区など北部で維新の支持率は高い。
冨田氏は街頭で行き交う人々に、都構想への賛成・反対をボードにシールで貼ってもらう「シール投票」にも参加した。