まだまだ寒い時期ではありますが、キャンプでは、早朝や日没からの時間は特に、焚き火が楽しみのひとつですよね。揺らめく炎や、パチパチと薪がはぜる音、周囲を通り抜けていく風の音や、鳥の声、せせらぎの音…様々な環境音に包まれるのも、幸せな時間です。今回は、そんな環境音や周囲の自然に囲まれながら、温かいドリンクを片手に、読書を楽しんでみてはいかがでしょうか?自然の中で読むからこそ、深く入ってくる言葉や物語に出逢えるかもしれません。

自然の中で読みたい本1.

『朝の少女』 マイケル・ドリス
灰谷健次郎さんが訳者ともなっており、とても美しい世界が紡がれています。大いなる自然の中で自然に寄り添って暮らす、という忘れかけた世界がそこには描かれています。主人公の少女とその弟が、様々なふれあいや経験の中で成長していくお話がメインになっています。とても素敵な物語として進んでいきますが、最後には、現代に生きている自分について考えさせられるような、そんな問いも残る作品です。読む年代によっても、感じ方や考え方が違っていくような、何度読み返しても面白いと思える素敵な一冊です。

自然の中で読みたい本2.

『神去なあなあ日常』 三浦しをん
三浦しをんさんは、2006年に直木賞、2012年に本屋大賞を受賞し、この作品を含め映画の原作となる物語も多いので、知っている方も多いかもしれませんね。この物語は、いきなり携帯電話の電波も届かないような田舎にやってきた青年が、周りの人とのふれあい、自然の中で生きることで、成長していきます。魅力的な登場人物や、自然のよさ、怖さやキツさなどがストレートに描かれていて、清々しさを感じる一冊です。

自然の中で読みたい本3.

『家守綺譚』 梨木香歩
『西の魔女が死んだ』をご存知でしょうか?こちらも梨木香歩さんが書かれていますが、丁寧な描写とストレートな表現で、とても読みやすい作品が多い作家です。独特の世界観に一気に引き込まれるような物語が多くあり、家守綺譚も同じく、明治時代にタイムスリップしたかのような気分にさせてくれます。また短編で、1年の移り変わりを面白く感じることができます。季節や、天気、自然や人ではないものが、主人公である売れない作家の周りで生き生きと動き回り、日常が流れていきます。現実と不思議が入り混じった、素敵な世界観をぜひ堪能してみてください。

自然の中で読みたい本4.

『旅をする木』 星野道夫
写真家である星野道夫さん。アラスカの自然や先住民族の人々を愛し、その思いが綴られているエッセイです。悠久の時間と雄大で厳しくもある自然の中で、様々に思いを馳せ、そして読んでいる私たちにも届く波紋。写真もとても素敵なのですが、その眼差しの内に秘めたものなども感じることができます。命の温もりをストレートに感じることのできる作品です。自然の中、更なる自然へと旅をするのに最適な一冊です。

焚き火に読書、どんなドリンクをお供にしますか?