適齢期が来たら結婚するのが当たり前。そんな時代から、結婚は個人の選択による生き方の問題になった。でも、だからこそ悩ましい(撮影/植田真紗美)
適齢期が来たら結婚するのが当たり前。そんな時代から、結婚は個人の選択による生き方の問題になった。でも、だからこそ悩ましい(撮影/植田真紗美)

「さらに言えば、結婚という制度に対して信頼がなくなっているということ。彼らの親世代では離婚が増え、シングルマザーの家庭の苦労も耳に入ってくる。『よほどのことがないと結婚しなくてもいい』という考え方も出てきているのだと思います」

 文京学院大学教授で心理学者の永久ひさ子さんは昨年2月、全国の25~39歳の未婚者960人を対象に「結婚のイメージ」を調査した。その結果、「幸せな生活」「自由の制約」、男性は稼ぎ手として、女性は家事育児の担い手としての責任が期待される「性別分業の生活」の三つに分類できたという。

AERA 2023年1月23日号より
AERA 2023年1月23日号より

「とくに女性は『自由の制約』『性別分業』の平均値が高く、男性以上に結婚を『大変なもの』ととらえていることがわかりました。『結婚する』『しない』が選べる時代。結婚しても大変さが勝るなら、子育てに莫大な時間とエネルギーとお金を注ぐのと、やりたい仕事に時間やエネルギーを注ぐのと、どっちが自分の人生にとって幸せかと考えるのは自然だと思います」

 出生数も減少が続く。厚生労働省の「人口動態統計」によると、21年に生まれた子どもの数は81万1622人と、1899年以降で最少。22年は77万人とも推計されている。

(編集部・小長光哲郎、ライター・羽根田真智)

AERA 2023年1月23日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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