家の中が片づかないことに悩んでいる人は多いかと思います。それを「自分の頑張りが足りないから」や「性格がだらしないから」だと考え、自分を責めていないでしょうか。
それは大きな思い違いのようです。
「家が散らかる原因は、ただひとつ。『めんどくさい』と感じるしくみが、家じゅうに存在しているからです」と言うのは、『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。――いちばんシンプルな「片づけ」の方法』の著者、seaさん。家事代行マッチングサービス「タスカジ」で"予約が取れない家政婦"としても有名な人物です。
同書は、そんなseaさんが片づけコンサルタントとして20年以上、のべ6000軒の家で1回3時間の片づけサービスを提供してきて培ったメソッドを余すところなく記した一冊です。
そもそも、なぜモノが散らかるのでしょうか。それは「『戻す』のがめんどくさいから」。この「めんどくさい」の正体として、seaさんが挙げているのは次の5つです。
1、収納がぎゅうぎゅう
2、障害物がある
3、動作が窮屈
4、戻す場所まで遠い
5、戻す場所がバラバラ
逆に言えば、これらの問題を解消し、使い終わったモノを毎回戻せるようになれば、努力なしに片づいた状態をキープできると言えます。
そのために必要になってくるのが、「使うモノ」とそれ以外を分ける技術なのだとか。といってもやること自体はいたってシンプル。「片づけるエリアのモノをすべて出して『分ける』」「仕分けたモノを収納に『しまう』」という2つのみです。
「分ける」作業では、片付ける場所のモノをいったんすべて出し、そこにあるモノを把握し、「使うモノ」を選びます。続いての「しまう」作業では、「今使うモノ」を戻しやすくすることが大切。「3か月以内に使うかどうか」を目安に、「今使うモノ」をVIP待遇して「戻しやすい場所」に「ゆったりしまう」のがコツだそうです。
さて、仕分けの際に必然的に発生するのが「捨てる」という行為。みなさんの中にはこれが非常に苦行だという人もいるのではないでしょうか。一度捨ててしまっては取り戻せないものなどは、なおさら決断がためらわれますよね。
そこでseaさんが提案するとっておきのワザが「封印」です! 「『使う』でも『捨てる』でもない曖昧なモノたちは、日常生活を邪魔しない場所に、ひっそり閉じこめてしまいましょう」(同書より)と勧めています。このように、片づけが苦手な読者の気持ちに寄り添いながら、気楽に取り組める方法を教えてくれるのも、seaさんの片づけメソッドの素敵なところです。
家じゅうの「めんどくさい」をなくすと、散らかっていた部屋が自然と片づくだけでなく、家が心から安らげる「安全基地」となり、家族仲がよくなったり、人生をより豊かにする余裕が生まれたりといいことづくめだとseaさんは言います。本書を参考に、家の中から「散らかる原因」をなくし、今年こそ片づけのストレスのない暮らしを続けてみませんか?
[文・鷺ノ宮やよい]