こんな検査を受けておこう
健康診断や特定健診で行う身体測定(身長・体重・BMI・腹囲を測る)や血液検査、血圧測定(血圧脈波検査)に加えて、より精密な検査が行える個別検診。それによって、健康診断では見落とされた疾患や異常が見つかることも。女性特有の病気を網羅した検診メニューを用意しているクリニックもあります。
<脳検査>
MRI(脳実質撮影)、MRA(脳血管撮影)などで脳血管疾患を調べる。
<循環器検査>
心臓や血管の状態をチェック。動脈硬化や心血管疾患の有無を調べる。
- 頸動脈エコー検査
- 胸部エコー検査
- 胸部X 線検査
- 冠動脈CT 検査
- 心電図
<血液検査>
女性に多い甲状腺機能障害や膠原病、関節リウマチの素因の有無を調べる。
- 甲状腺機能
- 抗核抗体
- リウマチ因子
- 炎症反応
- ホルモンチェック
- 腫瘍マーカー
<眼科検査>
眼底検査で高血圧や動脈硬化の進行、糖尿病の発見、眼球の病気の有無をチェック。
<婦人科検査>
子宮や卵巣のがん、乳がんなど、40代以降にリスクが高くなる病気を検査。
- 子宮頸がん検査
- 子宮体がん検査
- 経腟超音波検査
- 乳房視触診
- マンモグラフィー
- 乳房超音波検査
<その他>
- 骨密度検査
- PET-CT 検査
更年期の悩みはどこで相談できる?
更年期に起こる心身の不調は、診療科を特定できないことが多いもの。そんな時は女性の全身症状をトータルで診察してくれる「女性外来」への受診をおすすめします。女性外来の先生は呼吸器、内分泌、循環器などと専門分野は違いますが、性差医療について勉強しているため、メンタル面も含めいろいろと相談にのってくれるはずです。女性外来の受診をきっかけに、かかりつけ医をもつとよいでしょう。
全身を検査する費用はどのくらい?
健康診断や特定健診の費用は無料か、有料でも低額です。全身を診る個別検診の場合、基礎検査を中心とした日帰りの費用は平均3~8万円くらい、泊りがけでMRIやMRA、PET-CT(※)、エコー検査を行って、より詳しく検査する場合は10万円以上かかることも。個別検診は健康保険の適用外なので、費用は全額自己負担。ただし居住地の市町村や所属している健康保険協会、健康保険組合、あるいは契約している保険会社によっては、補助金や助成金、割引サービスが受けられる場合があるので、問い合わせてみましょう。
※PET(陽電子放出断層撮影)検査とCT(コンピュータ断層撮影)検査を融合させた検査。がんの発見に役立つ。
<後編>「硬くなっていく血管をケアするには? 医師がすすめる日々の食事と運動の方法」に続く
監修/天野惠子(あまの・けいこ)先生
一般財団法人野中東晧会 静風荘病院特別顧問。日本の「性差医療」研究の草分けとして普及に努め、鹿児島大学及び千葉県にて、性差に基づく女性医療の実践の場として女性外来を立ち上げ、治療に当たる。2009年より現職。日本性差医学・医療学会理事。