コメント欄がプロパガンダに利用されている実態も
コメント欄の問題は、誹謗中傷などの違法有害情報以外にもある。外国勢力による情報工作の標的にされている、との指摘だ。
英カーディフ大学の研究チームが9月初めに公表した報告書によると、欧米や日本を含む16カ国(地域)、32の大手メディアを調査したところ、これらのコメント欄を標的に親ロシアの「読者コメント」が書き込まれ、それがロシアの政府系メディアの「まとめ記事」を通じて、プロパガンダとして拡散されている実態が明らかになったという。日本でその標的となっていたのが、ヤフーニュースのコメント欄だった。
「地獄」「廃止」ユーザーに向き合った対応が必要
ヤフーニュースのコメント欄を巡っては、誹謗中傷が後を絶たない、との批判が根強い。フェイスブックへの批判と同様に、「利益優先」との声も上がる。これに対してヤフー広報室は、コメント欄はニュース理解のための「解説や捕捉」などを提供するもので、「PV(ページビュー)を増やすことを目的として提供しているわけではない」としている。
ヤフーニュースのコメント欄は、ネットユーザーからどのように見られているのか。ヤフーニュースへのコメント投稿数が急増したという10月1日から10日まで、「ヤフコメ」というキーワードに対するツイッター上の反応を、ヤフーのリアルタイム検索で調べてみた。
この間のツイッターでの関連投稿数は1万507件。そして、「感情の割合」は91%がネガティブだった。ネガティブの具体的な中身とは何か。ユーザーが「ヤフコメ」とともに頻繁に検索するキーワードとして表示された候補は、「廃止」「反ワクチン」「地獄」「誹謗中傷」などだ。
有害情報を完全に排除することは不可能だし、「表現の自由」への萎縮効果も大きい。ただ、これらのユーザーの反応からは、コメント欄の誹謗中傷対策などが、十分とは評価されていない現状が浮かび上がる。ユーザーが安心して利用できるようにするためには、その声に向き合った対応が求められる。今回の新たな誹謗中傷対策が十分な効果を上げられるかどうかを、ユーザーは見ている。
(※ヤフーリアルタイム検索のデータ確認は10月20日現在)