一方、おがくずにふすま(麦ぬか)、米ぬか、栄養剤や水等を混合してブロック状、円筒状等に固めた塊に種菌を植え付ける「菌床栽培」は3カ月程度で出荷でき、収穫量も原木栽培よりかなり多いので、原木栽培のシイタケよりも安く販売できるのです。
シイタケは、マツタケと違って外国産を目にすることはほとんどありません。では、シイタケは海外から輸入されていないのかといえば、そうではありません。
実は、輸入シイタケであっても国産シイタケとして販売できるカラクリがあります。
たとえば中国で栽培されたシイタケでも、栽培途中の椎茸を日本に輸入して日本国内で収穫すれば、国産シイタケとして販売できるのです。
中国で栽培したシイタケを
国産として販売するカラクリ
食品表示については、生鮮食品も加工食品も食品表示法(消費者庁所管)でかなり詳細に定められています。野菜やキノコのような農産物の原産地(産地)は、収穫した所が産地と決まっています。
食品表示法の前身となるJAS法の改正で、生鮮食品の原産地表示が義務化されたのが2000年です。当時もすでに中国で栽培し収穫されたシイタケはかなり輸入されていましたが、シイタケ菌が植え付けられた原木や菌床(培地)そのものが輸入されることはほとんどありませんでした。
大半が中国で収穫されたシイタケだったので、産地の定義を決める際、中国から菌床を輸入して国内で栽培・収穫することは想定外でした。
農産物は栽培した所と収穫した所が同じ土地なので、栽培地(作付地)でも収穫地(採取地)でも同じ産地になります。土(土壌)は、原則、輸入禁止ですし、そもそも田や畑などの作付地を輸入することなどできないので、収穫地を産地にしても問題は生じません。
ところがシイタケは、作付地が土壌ではなく、原木や菌床なので、輸入が可能なのです。
中国では、原木栽培はほとんど行われていないので、輸入されるのは椎茸の菌床で、その多くは、大きなビニール袋の中に入れられて輸入されます。