山田美保子・放送作家、コラムニスト
山田美保子・放送作家、コラムニスト
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 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、「泉洋菓子店」を取り上げる。

【写真】文化放送のタレントや局アナが御用達の「隠れ家」菓子店のケーキはこちら

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 小6~中2ぐらいまで、土居まさるさんがパーソナリティーを務めた『セイ!ヤング』へ熱心に投稿していた私。小学生というのが珍しかったことと、いっちょ前にコーナーに沿った内容で書き分けていたことから、2時間半の放送内で毎週2~3回は採用されていた。こうした“ハガキ職人”時代の快感が忘れられず、制作スタッフや作家になった業界人は多いものだ。私が新卒でTBS954キャスタードライバーになった際、既にフリーになっていた土居さんに自己紹介をしたところ、「僕は君の字を憶えている」と言ってもらえたのは宝物だ。私も、当時の文化放送の住所「新宿区若葉1-5」は、指が憶えている。

 果たして2006年、同局は浜松町駅前に新築した自社ビル「文化放送メディアプラス」へ移転。ちょうど10年が経った頃に界隈の情報を掲載したサイト「浜松町STORY~ハマスト~」が開設された。

 同サイトによれば、浜松町にはカフェや菓子店がたくさんあるそうだが、「隠れ家すぎる」「簡単には見つけられない」「知る人ぞ知る」「初めは不安になるかもしれない」と紹介されているのが『泉洋菓子店』。というのも決して大きくはないオフィスビルの10階にあるからだ。

 厳選した原材料にこだわり、伝統を守る、創業100年(『週刊朝日』と同じ)の真面目なお店。0.5畳ほどのスペースに、洋菓子好きなら名前やその歴史がスラスラ言えそうな焼き菓子が数十種類、並ぶ。

 なかでも「にこにこチーズ」は同店の看板と言うべき大人気商品。スフレチーズケーキがまだ珍しかった40年程前から細心の焼成温度と滑らかな生地との絶妙な調整で一つ一つ丁寧に焼き上げているそうだ。

 全商品を手作りしているため、数に限りがあるのに、文化放送に出入りするタレントや局アナ、スタッフらの間では既に御用達ケーキ。

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