東京パラリンピックの日本選手団主将を務める国枝慎吾(37)が出場する車いすテニスは8月27日から始まる。AERA2020年1月20日号で力強く語っていたインタビューを紹介する(肩書きや年齢は当時)。
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卓越したチェアワーク(車いす操作)を武器に、10年以上もの間、世界の王者に君臨した車いすテニス界のレジェンド、国枝慎吾。2021年は挑戦者として5度目のパラリンピックに臨む。
シングルス3連覇がかかった16年のリオ大会は準々決勝で敗れた。
「ボールが飛んでくるのが怖かった」
右ひじのケガの影響で、バックハンドの際にひじを曲げると痛みが走った。痛み止めを打ち出場したが、ラケットを構えるたびに、「ああ、痛みがくるぞ」と、ラケットを振り切れなくなっていた。持ち味の強烈なバックハンドも影を潜めた。
引退も覚悟したかつての王者が取り組んだのはフォームや用具の改造だ。ひじに負担のこない握り方やグリップを探り、尻を包み込むバケットシートを初採用した。当初はフォームが安定せず、ラケットが地面に突き刺さることもあった。
光明が見えたのは約1年後。18年、3年ぶりに全豪、全仏を制し、2年4カ月ぶりに世界ランク1位に返り咲いた。
「自信を失い、王者の看板も外され、チャレンジャーの立場でプレーできたのが良かったのかもしれません」
09年、日本の車いすテニスプレーヤーで初のプロ選手になった。「後に続く選手たちのためにも絶対失敗できない」と、自らを追い込み、結果を出し続けてきた。
「東京開催が近づき、選手の競技環境が充実した。2020年以降は、東京でどれだけ成績を残せるかにかかっている」
プロ選手としての矜持がにじんでいる。
(編集部・深澤友紀)
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■車いすテニス
2バウンドが認められている以外は通常のテニスとほぼ同じルール。足を使って車いすを操作したり、地面に足をつけたりするのは原則禁止(特例あり)。打つ際に両方の臀部を浮かせてはいけない。バルセロナ大会から正式競技。
※AERA2020年1月20日号に加筆